そして、バトンは渡された 映画の感想は心温まるじんわり涙した素敵な内容でした
以前、この映画が公開される前に、簡単に内容の説明が書いてあった記事を読んだことがありました。
気になっていたので、ずっと観たいと思っていた映画だったのですが、ようやく観に行くことができました。
一言でいうと「子供を想う愛」という”バトン”を繋いでいく、といった内容です。
親子は血が繋がっていようがいまいが、そんなことは関係なく、”子供を想う愛情”であったり”子供を守る”という気持ちは同じなんだと、じんわりと涙し感動した映画でした。
目次
突然現れた華やかで綺麗な女の人
幼い娘、みぃたんと父親との二人暮らしのシーンから始まります。
母親は病気で亡くなっていて「どうして自分にはお母さんがいないのか」と泣きじゃくり、父親を困らせてしまいます。
みぃたんの名前は”優子”といいますが、いつも「みぃ、みぃ」泣いているので『みぃたん』と呼ばれています。
ある日みぃたんが学校から帰ると、殺風景な部屋が、みぃたんの好きなものばかりの可愛らしいインテリアに変わっています。
そこに突然現れた、とても華やかで綺麗な女の人。
お父さんが連れてきたその女の人は、同じチョコレート工場で働く、梨花でした。
塞ぎ込んでいたみぃたんを励ますために、梨花はみぃたんのお父さんに頼まれて部屋のインテリアを変えたり、可愛らしい洋服を一緒に買いに行ったりして、梨花と仲良くなっていき、しだいにみぃたんは明るさを取り戻していきます。
そして、とても華やかで綺麗な女の人梨花は、みぃたんのお母さんになるのです。
4回も苗字が変わった主人公優子(みぃたん)
最初の本当のお父さん
新しいお母さんを迎えて、とても幸せに暮らしていましたが、ある日三人で遊園地に行くと、突然みぃたんのお父さんが「ずっと夢だったブラジルで、カカオを作るために移住したい。三人でブラジルへ移住しよう、そのために会社も辞めた」と切り出します。
みぃたんは、学校のお友達と離れたくないと言い、新しい母親の梨花も日本を離れてブラジルで暮らすことに不安を感じて、移住することを拒みます。
家族に相談もなく会社を辞めてしまったこと、お父さんの意思が変わらないことから、家族の中に不穏な空気が流れ始め、お父さんとお母さんが毎日言い争いをするようになってしまいます。
そして、お父さんとお母さんは離婚をすることになってしまい、みぃたんは新しいお母さんと日本で暮らすことを選び、お父さんは一人でブラジルへ旅立ちます。
梨花とみぃたんの二人暮らし
父親がいなくなった母娘の二人暮らしは、経済的に大変でした。
古いアパートへ引っ越しをしましたが、相変わらず部屋は可愛らいインテリアで埋め尽くされ、梨花もみぃたんもとても生活に困っている装いではありませんでした。
しかし、明日食べるお米もないほど、家計は逼迫していました。
ある日、みぃたんは学校の帰り道に在るお屋敷から聴こえてくるピアノの音に、心がパーっと明るくなります。
その日は雨が降っていたのにもかかわらず、ピアノの音色がとっても美しかったからか、ずぶ濡れになりながらもそのピアノの音に合わせてダンスをし続けます。
そして、家に帰ってから梨花に「ピアノを習いたい」と言いますが、みぃたんは食べるお米もないのは分かっているので「そんなの無理だよね」と梨花に言います。
そんなみぃたんを見て、梨花は不憫に思い、あることを思いつき、ある男性に会いにいきます。
ピアノを持っている大きなお屋敷に住む2番目のパパ泉ヶ原さん
新しいみぃたんのパパは、梨花よりもはるかに年上の、お金持ちの人でした。
リビングには、ベーゼンドルファーのヨハンシュトラウスのグランドピアノが置いてあり、家政婦の人もいる大きなお屋敷に住んでいる人でした。
ピアノを弾きたがっていたみぃたんは、専属の先生がお屋敷に足を運び指導を受けることができ、梨花もパートで働きに出なくてもすむ、何不自由のない生活をすることになります。
しかし、母親の梨花は突然姿を消します。
母親がいなくなったみぃたんは、とても寂しがっていますが、そんなみぃたんに新しいパパは優しく接してくれました。
梨花がいなくなって数ヶ月が経ったクリスマスの日に、ひょっこり帰ってきます。
梨花は、お金持ちで何不自由のない生活が自分には合わないから、牧場で働いていたと言います。
そして、その間に梨花は新しいみぃたんのパパを見つけていたと、みぃたんに告げるのでした。
新しいパパは東大出の優しくて料理上手でキャラ弁を作ってくれる森宮さん
森宮さんは、梨花が同級会でみつけた、東大出身のエリートでした。
仕事で自分の手柄を同期に持っていかれても、悔しいとも思わない気の優しい人でした。
森宮さんと梨花の結婚式の直前に、初めてみぃたんと顔を合わせます。
梨花は森宮さんに、娘がいることを話しておらず、それでも森宮さんは「将来娘とお酒を飲むことが夢だった」と言い、お嫁さんと娘がいっぺんにできたことに幸せを感じるような、気の優しい人でした。
しかし、またしても梨花はみぃたんを森宮さんの所に残したまま、姿を消してしまいます。
梨花がいなくなったあと森宮さんは、みぃたんを男手一つで立派に育てあげました。
みぃたんが高校に通っている時のお弁当は、愛情たっぷりのキャラ弁で、家庭の味にこだわって料理を勉強し、いつも手料理を振る舞っていました。
更には、今まで貯めたお金でみぃたんが心置きなくピアノの練習ができるような、防音がしっかりした家を買おうとしたりと、父親として、みぃたんをしっかり育て上げる使命を持っているかのようでした。
血の繋がらない親でも愛情がいっぱい
本当の親は、最初に出てくる父親だけですが、育ての母である梨花、大きなお屋敷に住む2番目のパパの泉ヶ原さん、3番目の父親の森宮さんも、みんな、みぃたんにたくさんの愛情をもって育てています。
「みぃたんにとって一番良い選択は」ということを大事にしているからこそ、みぃたんは寂しいと思ったことはなかったと話しているんだな、と思いました。
「4回も苗字が変わって育った」と聞くだけで、この子は不幸の中で育ったんだ、と思いがちですが、子供を大切に育てる、守っていくという思いを持って接していることは、血が繋がっていなくても子供にはたくさんの愛情を与えてあげることができるんだと感じました。
このご時世で、実の親でも悲しい事件が起こってしまうニュースを目にしますが、社会全体として子供に愛情を持って育てることは、これからの将来において、次、またその次へとその愛は繋がれていき、安心して心穏やかに過ごせる世の中への連鎖になるのではないかと思いました。
育ての母梨花が姿を消した理由
育ての母、梨花は自由奔放な生き方をしているという印象ですが、本当の梨花は、若くして子供が産めない体になってしまったので、みぃたんという子供ができたことに、人一倍の母性愛でみぃたんを大切に育てようとします。
みぃたんの本当の父親がブラジルへ行ってしまった後、みぃたんはたくさんお父さんに手紙を出します。
そして、お父さんもみぃたんへ手紙を送っていますが、梨花はその手紙をしまい込んでいました。
みぃたんが、お父さんの手紙を目にすることで、お父さんを恋しく思ってブラジルへ行ってしまうかもしれないという恐れからでした。
実は梨花は、持病を持っていて、環境が大きく違うブラジルで暮らすことが不安で、どうしてもみぃたんの本当のパパについて行くことができませんでした。
2番目のパパの泉ヶ原さんは、お金のために梨花が結婚したということも分かっていました。
別れる時も、そうなることは分かっていて、梨花の持病でいつ命を落とすか分からない、泉ヶ原さんも高齢ということでみぃたんを一人にさせるわけにはいかないと、若い新しいパパを探したのでした。
このことも泉ヶ原さんは、快諾していたことでした。
みぃたんが、結婚する時には梨花はもうこの世にはいませんでした。
病気が進行して、最後は泉ヶ原さんにお世話になっていましたが、みぃたんに会うことはありませんでした。
それは、元気な姿のままでみぃたんの記憶に残したかった、という思いからでした。
みぃたんが、結婚が決まったことも知っていて、最後にみぃたんのためにウエディングドレスを選んでから、この世を去りました。
そして、バトンはみぃたんの大切な人へ渡された
結婚式に、3人の父親に見守られ、梨花が選んでくれたウエディングドレスを着たみぃたんが、森宮さんとバージンロードを歩き、「愛」というバトンが、みぃたんの夫になる人に引き継がれました。
みぃたんを大切に育ててきた4人の親からのたくさんの愛情で、幸せな結婚式を迎えられたみぃたんや周りの大人達の愛情が、じんわりと伝わってきて心があたたまり、涙が流れてきたシーンでした。
育ての母梨花は、娘の花嫁姿を見ることはできませんでしたが、3人の父親がみぃたんの結婚式で祝福する姿は、「親の愛の形」はいろんな形があって、血が繋がっているいないは関係ないと感じさせられるシーンでした。
まとめ
この映画の主人公みぃたんの生い立ちをみると、可哀想なストーリーなのかと思いきや、優しさや愛情に溢れた内容でした。
子を想う親の気持ち、という観点からみると、本当の親(生みの親)とか、育ての親といったことではなく、子供を守るという大人の愛情を注いで子供を育てることの大切さや、あたたかさを感じ、じんわりと涙した映画でした。
- みぃたん・・・永野芽郁さん
- 華やかで綺麗な育てのママ・・・石原さとみさん
- 本当の父親・・・大森南朋さん
- 大きなお屋敷に住む2番目のパパ・・・市村正親さん
- 東大出の料理上手の3番目のパパ・・・田中 圭さん
- みぃたんがずっと好きだった人(夫となった人)・・・岡田健史さん
というピッタリはまったキャスティングも、この映画の良さが引き立ったのだと思います。
まだ上映は続いていると思いますので、是非映画館へ足を運んでみてください。